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TAKES作品の部分デザイン





メーカー住宅等を見ていると、
間取りが決まった後は、
既製部品をカタログから選ぶ事で、
設計が完了しているようです。
既製品の良さもあるけれど、
すべて個別にデザイン出来るのです。
その方がかえって安かったりもするのです。

建具(ドア)

住宅の雰囲気を決めてしまいます。



建具には毎日触ります。
そして動かします。
まだ家具をおいてない部屋では建具に目がとまります。
だから建具一つでその家の雰囲気がきまってしまいます。






建具は、毎日の開け閉めでいちばん問題が起きやすい部分でもあります。
だから近ごろの住宅のほとんどは既製品となっています。
でもなぁ、その部屋の雰囲気は建具で決まってしまうんだよな。。


なぜ、既製品を使うのか?
建具のソリなど問題が起きにくいからです。
クレームレスを目指す住宅産業は既製品に飛びついています。
でもそのために、一気に既製品感が高まってしまいます。




これらの建具は大工さんにつくってもらいました。
安く手触りの良いものをつくるために、
材料は床材だったり壁用の板だったりします。


T-ROOMの建具です。
部屋の雰囲気は建具で決まると言う意味がわかってもらえると思います。


リノベーションを行った住宅の建具です。
壁貼り用の板で大工さんに作ってもらいました。

IZUMI HOUSEの玄関ドアです。
TAKES設計事務所の入り口ドアと色違いですね。
ツーバイフォー材をちいさな鉄骨でとめています。
厚さ4センチ近い無垢板ですから重量感たっぷりです。





普通は、こんなふうに建具を特注で作ろうとするととても値段が張ります。
はじめておつきあいをする建設業者さんの場合、建具屋さんから見積もりをとり
建具1本10万円を超える値段を計上してきたりします。
長い間そこで悩んでました。普通の住宅でそんな高額な建具を使える訳ありません。


どうやら特注の建具が高いのは、
プリント合板の既製品並の精度を求められ続けたからでは?
と気がつきました。


自然な木材は変形します。
建具など動くものはその変形がすぐに影響します。
車のドア(あれは鉄です)のように手を離せば完全に閉まりきる事を、
自然な木の建具に求める余り、プリント合板の既製品ドアばかりになっているのでしょう。


テイクス設計事務所では、お客様の了解を得て、多少の変形は許容しています。
ドアが閉まる最後の部分は、手ですこし押したりしても良いのでは?
なんて考えています。
そうすると、同じ建具がとっても安く手に入るのですよ。


キッチン

キッチンは住宅の中でも高額な部品です。



住宅の値段の1割、時にはそれ以上の金額になります。
様々な製品がカタログに並んでいます。
どれを見てもしっくり来ないときには、キッチンその物をデザインします。
このようにタイル貼りで仕上げ、既製品の1/3の値段で作る方法もあります。




ステンレス流しは既製部品を、IHヒーターはメーカーの製品を埋め込みます。
レンジフードは板金加工と換気扇を組み合わせています。
引き出しや収納は家具屋さんに作ってもらうことも、市販のワゴンを使うこともあります。
キッチンの側面は50角タイル、上面は大判タイルを貼っています。


YA-HOUSEのキッチンテーブルと食卓用テーブルです。
合板を2枚プレスで接着した板を天板に、キッチンはタイルを貼りシンクを落とし込んでいます。
どちらも、配管材で足を組んでいます。メカニカルな表情と鋳物の重量感が味を出しています。
図面は住宅建築誌に掲載されたものです。

T-ROOMリノベーションでデザインしたキッチンです。
ステンレスのシンクを最も安価に入手する方法を検討し、ホームセンターで量産タイプのシンクユニットを購入し、シンクのみ使用しました。
キャビネットを含めても3万円以下で入手出来るので、シンクのみを購入するより安価なのです。
棚部分は大工さんにつくってもらい、タイルを貼って仕上げました。



床材

靴を脱いで生活する日本の家の床材は、体に一番近い建築部品です。



何と言っても手触りの違いでムク材が一番です。
松、桧、杉。予算と固さで使い分けます。
節の有無を気にしなければ、合板フローリングと変わらない値段でムク材を使えます。
いくらムク材と言っても、表面に樹脂塗装をしてしまうと肌触りが変わってしまいます。
浸透性の自然塗装であれば、あたたかな木の肌そのままに汚れを防ぐことが出来ます。
予算があれば床暖房対応のムク材。
お勧めは、深夜電力蓄熱暖房と比較的安価な松材の組み合わせです。
広い間取りでも暖かく住まうことが出来ます。

 




すこし変わった床ですが、OSB合板です。
もともと梱包用の木箱などに使われていた大変に安価な合板です。
最近は、風合いの面白さから、表面を滑らかに加工して仕上げ材用のものも流通しています。
床材に使った場合、すこしでこぼこした質感が畳のように感じられて楽しい材料です。

壁材

建築の部位で一番目に入るのが壁です。

漆喰壁です。
写真を拡大してみると壁がでこぼこしているのがわかると思います。
漆喰を建て主さんが塗りました。
適度にムラのある左官の壁は表情豊かです。
まして、家族総出で塗った壁であれば愛着もひとしおです。
もちろんプロに任せることも出来ますが、時間があれば壁塗りに参加することをお勧めします。





間仕切り壁に厚さ35mmのムク板を使っています。
柱を建てて両側にボードを張るより安くしっかりした壁ができ上がります。
材料は2×4材(ツーバイフォー材)DIY店でよく見かけるムク板です。
木材のやさしい表情と、こぶしで叩いてもびくともしない頼もしさがありますね。

天井

天井は部屋に楽しさを与えてくれます。

天井は構造と密接に関係します。
間取りから合理的な構造が生まれます。その構造が一番良く現れるのが天井です。
構造を隠してしまうのではなく、見せる事で住宅が楽しくなります。
3mほどの高い天井は気持ちの良い部屋をつくります。
背の高い垂木と合板を組み合わせた天井を良く使います。
柱の間隔を広くして間取りを自由に出来る効果もあります。
合板の変わりに床に使うような板を使う事もあります。
少し民家っぽくなりますね。
高性能の断熱をほどこし、屋根面も外部で熱を逃がす工夫をした上で、小屋裏空間を室内にとりこみ、工事費を抑えながら広々とした空間をつくります。


骨造の住宅の場合鉄骨の梁と共にデッキプレートを見せる事も有ります。これも部屋に変化を与えて楽しさを生むためです。白く塗装したり亜鉛メッキそのまま見せたりしています。

階段

階段のデザインで住宅が広くなります。




回り階段です。
見通しの良い回り階段は部屋を分断することなく部屋を広く使わせてくれます。
また、上の階では階段を囲んで部屋を配置することで無駄の内平面計画を可能にします。
しかし何と言っても回り階段のオブジェのような美しさが住宅を楽しくしてくれます。
お子様が小さいうちは、手すりにネットを張って転落防止の工夫をしています。
もちろん木造住宅でも回り階段を使っています。


  




階段の一段一段に引き出しを取り付けています。
古民家の箱階段のアイデアです。
さらに踊り場から上は、段の垂直部分に半透明な材料を使っています。
収納と明るさの良いとこ取りをねらっています。



鉄骨階段をパンチングメタルで創りました。
3階分の吹き抜けを半透明のパンチングメタルの階段と吹き抜けを組み合わせて光の井戸の様な階段としました。
鉄骨の特性を活かして丸パイプを使い、テンション構造としています。



既製品の部品を集めて庇をデザインしました。




足場用の単管(亜鉛メッキされた直径60mmの鉄パイプ)で、工事現場を囲う鉄板(なまこ板)を支えています。
上下から鉄筋で引っ張って固定してます。
登山用のカラビナを使ったり、船舶金物、配管金物を組み合わせてデザインします。
これらの部品には、近ごろの住宅建材や住宅部品には欠けてしまった、堅牢さとモノ自体の存在感が有り、気に入って使っています。
大工さんの高齢化にともない、現場での手仕事に頼る事が難しくなって来ています。
大量生産された工業製品は価格もこなれているので、安くしっかりしたものをデザインするひとつの方法だと考えています。